ジャンルを横断するLAの自由な気風
Baths@新代田Fever
2011 11.25 Fri.

昨年「Anticon」レーベルからリリースされたデビュー・アルバム『Cerulean』が話題を呼んだLA出身トラックメイカー、ウィル・ウィーゼンフェルド(Will Wisenfeld)によるグリッチ・ホップ・プロジェクト、Baths。アンビエントにフォーカスしたサイド・プロジェクトのGeoticなど多岐に亘る旺盛な活動が注目される彼の初来日公演が10月に予定されていたのだが、急病によりしばらく療養が必要との理由で延期。翌月、無事に復活を果たしたBathsの振替公演が実現した。
まずはデビュー・アルバムのリリース元となったAnticonについて触れておこう。看板アーティストでもあるAliasやJel ら複数人によって90年代後半に設立。ヒップ・ホップを母体としながらも、エレクトロニカ、アンビエント、インディー・ロックなどジャンルにとらわれない自由な発想で生み出される音楽の数々は多くのフォロワーを生み出し、いまなおシーンの第一線を突っ走る老舗レーベルである。アンダーグラウンドヒップ・ホップシーンの活性化とエレクトロニカの認知化に大きく貢献した(国内盤はボーナストラック2曲を追加し、優良レーベルTUGBOAT RECORDSからのリリースとなっている)。
振替公演ということで心配されたBaths本人の体調だが、とても病み上がりとは思えないソウルフルなヴォーカルを披露し、その心配を一気に吹き飛ばしてくれた。ライブ用にアレンジされたデビュー・アルバムからの楽曲でファンを大いに沸かせ、LAならではの陽気なメロディーループとビートが冴えわたる。キャッチーなメロディー・ループを基調とした作風は、ピアノやビオラ、コントラバスなどの楽器に親しんでいたことの影響なのではないだろうか。 “Aminals”の牧歌的なメロディーが流れた瞬間にはフロアが一体となってリズムに身を委ね、会場全体が心地良いリズムで満たされた。MCでは日本語を連発してファンを大いに沸かせ、エンターテイナーとしての演出も忘れない。
アルバム『Cerulean』からの楽曲を中心とするアンコール含め全18曲を披露し、演奏後にエントランスに姿を現すと瞬く間にファンに囲まれ、ニコニコしながらサインに応じる姿が印象的であった。LAの自由な気風が満ち溢れる環境で育った、気さくな青年といった風で、そんな人柄の良さが楽曲にも表れており多くのリスナーの共感を得ているのだろう。